2025年11月24日月曜日

大谷徹奘師 特別法話と観音縁日

 本日は、薬師寺副住職の大谷徹奘師をお迎えし、法要が厳修されました。

​■ 特別法話:大谷徹奘 師

​法要に先立ち、大谷徹奘師よりご法話を賜りました。

今年で僧侶となり四十五年。「人生は瞬きするような時間である」と振り返りながら、観音様の別名である「観自在(かんじざい)」の教えを説かれました。



​雨が降った時に「不満」を言うか、あるいは戦地の現実を想い「鉄砲の弾でなくて良かった」と安堵するか。すべての景色は自分の心の受け止め方一つで変わるというお諭しは、平和な日本に暮らす私たちの「当たり前の幸せ」を再確認させるものでした。

かつて東京大空襲で家族を失ったお父様が苦しみを語らなかった逸話を通じ、先人たちの忍耐の上に今の「極楽暮らし」があることへの感謝を深く胸に刻みました。

​■ 住職法話:安田奘基 師

​続いて、当山住職の安田奘基師が登壇いたしました。



住職は、先日東京ドームで行われた長嶋茂雄氏のお別れの会に参列した際のエピソードを紹介しました。

常に「ファンにどう見られるか」を意識し続けた長嶋氏のプロ意識に触れ、僧侶もまた「お寺の発展」よりも「どうしたら人々の苦しみを救えるか」を第一に考えるべきであると、決意を新たに語りました。

​また、今年六月にお母様を亡くされた経験から、「亡き人との対話」の大切さについて触れられました。松井秀喜氏が恩師への弔辞で「心の中で対話を続ける」と述べたように、姿は見えずとも心の中で問いかけ続けること。そして私たち自身も、いつか「もう少し話したかった」と惜しまれるような生き方を重ねていくことの大切さを、参列者の皆様と共に分かち合いました。

​■ 大般若経転読法要

​法話の後、安田住職と職衆による大般若経転読法要が執り行われました

​「転読(てんどく)」とは、経本をパラパラと空中で翻し、その風に乗せて功徳を広めるダイナミックな作法です。

僧侶たちの力強い掛け声とともに、宙を舞う経典の風を受け、参列された皆様は無病息災と家内安全を一心に祈願いたしました。



​本日は、大谷師と安田住職、二つの尊い教えと、力強い転読の風に触れ、心身ともに洗われる一日となりました。

​ご参列いただきました皆様、誠にありがとうございました。

​合掌

2025年11月16日日曜日

令和7年11月5日 潮音寺観月会を厳修いたしました

季節は晩秋を迎え、夜空の美しさが際立つ頃となりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

​去る令和7年11月5日(水)、潮音寺にて恒例の観月会を厳かに執り行いました。

​この観月会は、月を愛でる風雅なひとときをご結縁の皆様と共有し、静寂の中で仏縁を結んでいただく大切な行事です。

​幻想的な夜の法要と奉納

​当日は多くの方にご参集いただき、午後5時からのお食事・野点にて、和やかな雰囲気の中、交流を深めていただきました。

​午後6時半からは法要が厳かに執り行われました。


​すすきを飾り付けた祭壇のそばで、灯明がゆらめき、幻想的な雰囲気に包まれました。夜の澄んだ空気の中で響く読経は、ご参列の皆様の心に静かに染み渡ったことと存じます。


​そして午後7時頃からは、奉納行事として素晴らしい演奏家の皆様をお招きいたしました。

​タブラ奏者の石田紫織様

​シタール奏者の武藤景介様


​お二人の演奏は、静寂な夜の空気と見事に調和し、深く心に響くものでした。篝火の炎の元、タブラのリズムとシタールの優雅な響きが織りなす音の曼荼羅は、ご参列の皆様を深い瞑想へと誘いました。日常の喧騒を忘れさせてくれる貴い時間となりました。

​観月会を通して皆様が結ばれたご縁が、日々の安寧に繋がりますことを心より願っております。

​ご多忙の中、ご参加だきました皆様に改めて感謝申し上げます。今後とも、潮音寺の行事にぜひご参加ください。

2025年11月14日金曜日

10月25日、雨の中、川施餓鬼法要を厳修いたしました

 季節は深まり、気づけば秋の長雨の季節となりました。皆様、体調など崩されてはいませんか?

​去る10月25日、当寺の重要な年中行事の一つであります「川施餓鬼法要」を厳修いたしました。

​この法要は、水難で亡くなられた精霊や、水中に住む全ての生き物、そして過去世から救われずにいる一切の餓鬼(がき)たちに、仏様の功徳を施すための大切な法会です。

​当日は、あいにくの雨となりましたが、足元の悪い中、15名のご結縁の皆様がご参集くださいました。誠にありがとうございます。

​法要はまず本堂で厳かに始まりました。


​本堂では、洗米(せんまい)をもって餓鬼に供養する儀式を執り行います。洗米とは、仏教において餓鬼を救うために施す最も清らかな食べ物の一つです。ご参列の皆様と心を一つにし、救いを求める多くの魂に法楽を捧げました。

​安田新住職の太鼓が響く利根川での水回向

​雨足が強まる中での乗船となりましたが、舟の上では濡れ衣も気にせず、安田新住職が力強く太鼓を叩き、読経をいたしました。


​特に、利根川の流れに印仏(いんぶつ)を流す儀式は、川施餓鬼の核心です。印仏とは、紙に仏様のお姿を押したもので、これを水に流すことで、救われなかった一切の魂が仏様との縁を結び、極楽浄土へとお導きいただくことを願うのです。

​ご参列の皆様が静かに手を合わせる姿は、深く心に響くものでした。この尊いご縁によって、水にかかわる全ての精霊、そして私たちが日々いただく水と生命の恵みに感謝の念を捧げることができました。

​来年もまた、水辺の全ての命に功徳を施す法会を厳修できるよう、寺門一同精進してまいります。皆様におかれましても、来年またお目にかかれることを楽しみにしております。

2025年11月12日水曜日

潮音寺 印鑰継承式を厳修

 季節は深まり、澄んだ秋空が広がる今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

​さて、去る10月11日、潮音寺におきまして、大変重要な法要である印鑰継承式を厳修いたしました。

​印鑰継承式とは、文字通り、寺院の重要書類や財物を管理する「印(いん)」と「鑰(やく:かぎ)」を、先代住職から新しい住職へと引き継ぐ儀式であり、新しい体制の始まりを告げる大切な節目となります。

​新住職へ、志を受け継ぐ




​当日は、本堂において厳かに法要が執り行われ、大本山薬師寺の生駒基達管主様に見守られながら、村上住職から安田新住職へと、志と職務の証が継承されました。

​新住職が深く頭を垂れ、その重責を受け止められる姿、また、先代住職の安堵と激励の表情が印象的でした。お集まりいただいた皆様も、新しい時代の始まりに静かに立ち会ってくださいました。

​新しい門出に

​この印鑰継承式をもって、潮音寺は新たな時代の一歩を踏み出します。

​安田新住職を中心に、寺門一同、より一層皆様の心の拠り所となるよう、日々精進してまいります。ご結縁の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻、そして温かいご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

​皆様の益々のご多幸とご健勝を心よりご祈念申し上げます。

​合 掌