皆さま、こんにちは。
5月11日、爽やかな五月晴れの中、今月も無事に「地蔵縁日」を執り行うことができました。
世界を見渡せば様々な不安なニュースも耳に入りますが、こうして皆さまと毎月元気にお顔を合わせられること、そして平穏な日常を送れていることに、何よりも深い感謝の念を抱いております。
本堂にて、皆さまと共に静かに手を合わせるひととき。
さて、昨日は「母の日」でした。
5月という時期柄、本山ではよく『父母恩重経(ぶもおんじゅうきょう)』というお経が読まれます。ここには、両親が子どもを産み育てる中で注いでくれた「十種の恩徳(10種類の深い恩)」が説かれています。
すでに親御さんを見送られた方も多くいらっしゃると思います。薬師寺の高田好胤(たかだ こういん)元管主は「真実の対話は、亡くなってから始まる」とよくおっしゃっていました。
親孝行とは、生きている間に物を贈ることだけではありません。私たちが日々を一生懸命に生きる姿を見せることが一番の親孝行であり、亡き後であっても、お仏壇や写真に向かって語りかけ、善い行い(追善供養)を届けてあげることが、親への最高の報恩となります。
最近では「親ガチャ(親を選べないこと)」という言葉をよく耳にします。「もっと裕福な家に生まれたかった」「親から酷い扱いを受けた」と、親を恨んでしまう辛い境遇の方もいらっしゃるでしょう。無理に感謝する必要はありません。
しかし、一つの事実として、私たちの命をたった25代遡るだけで、そこには「約6000万人」ものご先祖様が存在します。その中のたった一人が欠けても、今の私たちはここに存在しません。
もし親に対する恨みがあったとしても、自分がその「悪い連鎖」を断ち切り、良いご縁を未来へ繋いでいく。そんな前向きな生き方ができたなら、心が少し豊かになるのではないでしょうか。
■ 般若心経と「観自在」な生き方
私たちがよくお唱えする『般若心経』には「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」という仏様が登場します。「自在に見る」、つまり「苦しみや悲しみを勝手に背負い込まず、何事にもとらわれない自由自在な心を持つ」ということです。
『父母恩重経』にも「父母の恩は、天の極まりなきが如し(突き抜ける青空のように深い)」とあります。私たちもこの青空のように、とらわれのない晴れやかな心で生きていきたいものです。
■ 「もうすぐ咲く花」を楽しみに
薬師寺には「双頭蓮(そうとうれん)」という、一つの茎から二つの花が咲く珍しい蓮があります。そして昨年は総本山で「双頭の牡丹」が咲き、なんと今年は東京別院でも「双頭の牡丹」が開花し、ニュースになりました。
お花といえば、あるおばあちゃんと孫のこんな素敵な会話があります。
子どもが「お母さん、つぼみってなに?」と聞いたとき、お母さんは「まだ咲いてないお花よ」と答えようとしました。しかしその横で、おばあちゃんがこう言ったそうです。
「つぼみっていうのはね、もうすぐ咲くお花なんだよ。楽しみだね!」
「まだ咲いていない」と否定的に見るか、「もうすぐ咲くんだ!」と希望を持って見るか。同じ物事でも、捉え方一つで世界は大きく変わります。ぜひ皆さまも、こんな風に心を豊かに育む視点をお持ち帰りいただければ幸いです。
法話の後は、お外のお地蔵様へもお参りいたしました。
📜 晋山式(しんざんしき)のお知らせ
6月6日(土)13時頃より
潮音寺の開山記念式典と合わせ、私の「晋山式」を執り行わせていただきます。
当日は稚児行列(おちごさん)や、薬師寺より大谷徹奘(おおたに てつじょう)副住職をお招きしてのご法話、世界的ヴァイオリニストの大谷康子(おおたに やすこ)さんによる記念演奏も予定しております。
テントもご用意し、皆さまに楽しんでいただける一日にいたしますので、ぜひお誘い合わせの上、ご参拝ください!